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呼吸が続くことは不思議だ。
しかし、誰もがそれを不思議に思わない。
口や鼻から取り入れられた酸素は気管を通り肺へ送られ、その中の無数の肺胞により血液中へと送られてゆく。
そして、体内から生成された二酸化炭素は肺胞から気管へと押し出され、体外へと排出される。
中学の理科の授業でそう習ったとき、私は自分を疑った。
前の席には友だちが、同じ色形の制服を着て、真面目な背中を私に見せながらノートを取っていた。
ちらりと教室内を見渡しても、誰もが友達と同じ様子だ。
例外は授業を聞いていない子たちが、机の上に突っ伏していたり、机に隠して本を読んでいたり、近くの子と目配せをしてくすくす笑い合っているくらいで、私のように呼吸について違和感を覚えている子はいないように見える。

よくわからないことはたくさんあった。
そして、その多くを、周りの人々は認識していなかった。
当たり前として受け入れ、疑問という小さな種を持つということをすっかり失念しているかのように。

そして、自分のそんな思考を自覚するたびに、私は自分がどうしようもなく異質で陰気な汚れのように思えて、苦い気持ちをする。
私はどうしてみんなと同じように当たり前を受け入れられないのだろう。
どうして、しょうもないようなことを考えてしまうのだろう。
今、こうして考え込んでしまっていることすら普通はおかしいのだ。

私はそんなふうにしてよく黙りこくって考えていた子供だった。
友達はみんな、私の思考の内容を聞くと、「なにそれ」と笑った。
先生は解答を持っていないのかいつも大きく張っている胸をしぼめ、目を泳がせて咳ばらいをし、すぐにまた偉そうな顔で私に「そんなことよりも早く家に帰って勉強をしなさい」と言った。
それからというもの、私は自分のなかみを見せるのをやめた。

胸の中に、他人との歯車のかみ合わなさを抱えたまま。
そして私は今、高校1年生になっている。









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物書き目指して富士山のふもと、食物連鎖の底辺居住。


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